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フロントディレイラー(変速装置)の調整方法とは
クロスバイクにはフロントディレイラーが装着されていて、チェーンホイールの大小を切り替えられるようになっています。
クロスバイク購入時にショップでしっかりと調整されたフロントディレイラーでも、使用を重ねるにつれて徐々に変速が上手くいかなくなることがあります。
特にワイヤーの初期馴染みにより変速にズレを生じることがありますが、再調整を施さずにそのまま乗り続けている人がほとんどではないでしょうか。
たしかにフロントディレイラーの調整方法は分かりにくいのかもしれません。しかし基本を理解すればそれほど難しくはないので、自分で調整できるよう勉強してみましょう。
フロントディレイラー(変速装置)を調整してみよう
※ここではシマノ製10速フロントダブル及びトリプルのディレイラー調整について解説していますが、お使いのディレイラー機種の違いにより必ずしも調整法が一致するとは限りません(本ページで使用している図は(株)シマノ様の取扱説明書から引用しています)。
1.フロントディレイラー取付け位置の確認(フロントダブル&トリプル共通)
まずはフロントディレイラーの取付け位置の確認をしましょう。チェーンホイールに対しての隙間と並行を確認しますが、チェーンを外さないと正確には調整ができません。
もしチェーンの脱着を楽にしたいのならミッシングリンクを使用するといいでしょう。
この部分は組み付け時にしっかりと調整するところです。ショップで調整確認されているものだとほぼ問題ないので大幅にズレていないようなら目視確認だけでいいでしょう。
2.ロー側の調整(フロントダブル&トリプル共通)
次にロー側の調整をしますが、図のようにフロントローギア、リアは最大ギアにチェーンが位置するように変速しておきます。
チェーンガイド内プレートとチェーンの隙間を0~0.5mmになるようにロー側調整ボルトを回して調整します。
ここでは一ヶ所だけで良しとせずに、クランクを回転させて何ヶ所かでのチェーン隙間を見るようにしましょう。
チェーンガイド内プレートにチェーンがギリギリ接触しない位置に調整するのがベストです。
なお、調整ボルトを回すときにはいっぺんにグルグルと回さないようにします。
右に1/4回転、左に1/4回転のように少しずつ回して、その度に必ず隙間を確認するようにしましょう。
また、調整ボルトを回した方向と量をその度にメモしておけば調整範囲を超えてしまったときでも元の状態に戻すことが可能となるので、記録を残す癖をつけておきましょう(調整初心者の方が一番起こしやすいミスが調整箇所をやたらにイジって元に戻せなくなることです)。
3.トップ側の調整(フロントダブル&トリプル共通)
続いてはトップ側の調整です。図のようにフロントトップギア、リアは最小ギアにチェーンが位置するように変速しておきます。
チェーンガイド外プレートとチェーンの隙間を0~0.5mmになるようにトップ側調整ボルトを回して調整します。
ロー側と同じように、クランクを回転させて何ヶ所かでのチェーン隙間を見るようにしましょう。
チェーンガイド外プレートにチェーンがギリギリ接触しない位置に調整するようにします。
フロントダブルの場合は『5.ケーブルの張り調整とトリム機構の調整(フロントダブル)』に進みます。
4.中間ギアの調整(フロントトリプル)
トリプルの場合は中間ギアの調整をします。図のようにフロント中間ギア、リアは最大ギアにチェーンが位置するように変速しておきます。
なお、フロント中間ギアに変速するときはトップギアから中間ギアに落とすように変速してください(フロントディレイラーの位置が変わるためです)。
チェーンガイド内プレートとチェーンの隙間を0~0.5mmになるようにアウターアジャストボルトを回して調整します。
この後『6.トリム機構の調整(フロントトリプル)』に進みます。
5.ケーブルの張り調整とトリム機構の調整(フロントダブル)
ケーブルの張りを調整します。フロントトップギア、リアは最大ギアにチェーンが位置するように変速しておきます。
まずはトリム操作を行います。クランクを回しながらレバーbを軽く内側に操作して、フロントディレイラーが少しだけ小ギア方向に移動することを確認します。
もしフロントディレイラーが大きく動いて小ギアにチェーンが変速してしまう場合には、トップ側調整ボルトを1/8回転ほど左に回しましょう。
この後もう一度チェーンを元のフロントトップギアに戻して、再度トリム調整と確認をします。
トリム調整と確認が終わったらトリムを操作(レバーbを軽く内側に操作)してから、チェーンとチェーンガイドの隙間をアウターアジャストボルトで0~0.5mmになるように調整します。
6.トリム機構の調整(フロントトリプル)
クランクを回しながらレバーbを軽く操作して、フロントディレイラーが少しだけ小ギア方向に移動することを確認します。
もしフロントディレイラーが大きく動いて小ギアにチェーンが変速してしまう場合には、トップ側調整ボルトを1/8回転ほど左に回しましょう。
この後もう一度チェーンを元のフロントトップギアに戻して、再度トリム調整と確認をします。
フロントディレイラーの調整でトラブル時に対処する方法
以上でフロントディレイラーの調整は終了ですが、トラブルがあった場合のために以下を覚えておくといいでしょう。
フロントダブル
- クランク側にチェーンが落ちてしまう→トップ側調整ボルトを時計方向(右回し)に1/4回転締めこむ
- 小ギアから大ギアに変速しない→トップ側調整ボルトを反時計方向(左回し)に1/8回転緩める
- 大ギアから小ギアに変速しない→ロー側調整ボルトを反時計方向(左回し)に1/8回転緩める
- ボトムブラケット側にチェーンが落ちる→ロー側調整ボルトを時計方向(右回し)に1/2回転締めこむ
- トリムを操作した後、小ギアへの変速が硬くやりにくい→小ギアへの変速がスムーズになるまでアウターアジャストボルトを時計方向(右回し)に1/8回転ずつ締めこむ。(一度にたくさん回しすぎると大ギアへ変速しにくくなるので少しずつ行うこと)
フロントトリプル
- クランク側にチェーンが落ちてしまう→トップ側調整ボルトを時計方向(右回し)に1/4回転締めこむ
- 中間ギアから大ギアに変速しない→トップ側調整ボルトを反時計方向(左回し)に1/8回転緩める
- 中間ギアから小ギアに変速しない→ロー側調整ボルトを反時計方向(左回し)に1/4回転緩める
- チェーンがフロント最大ギアの位置でフロントディレイラーのアウタープレートとチェーンが干渉する→トップ側調整ボルトを反時計方向(左回し)に1/8回転緩める
- 大ギアから変速して中間ギアを飛び越えてしまう→アウターアジャストボルトを反時計方向(左回し)に1~2回転緩める
- 中間ギアの位置でリアを最大ギアにしたときにチェーンがフロントディレイラーインナープレートに干渉する→アウターアジャストボルトを時計方向(右回し)に1~2回転締めこむ
- ボトムブラケット側にチェーンが落ちる→ロー側調整ボルトを時計方向(右回し)に1/2回転締めこむ
手荒に扱われることが多いクロスバイクですがキチンと調整されたフロントディレイラーでの変速は気持ちがいいものです。こまめに点検・調整して快適なクロスバイクを楽しみましょう。