新品のチェーンオイルがベタベタするのは意味がある
シマノの新品のチェーンはとてもベタベタするオイルが塗られています。
これをそのまま使うと抵抗が大きそうだし、すぐに汚れてしまいそうです。そのため洗浄してから使う人が多いようです。
しかし新品のチェーンに塗られているオイルには意味があるので、脱脂せずに乗るべきだという意見もあります。
そこで今回はロードバイクの新品のチェーンは洗浄するべきなのかを考えてみましょう。
なぜ新品のチェーンに粘度が高いオイルが塗られているのか
新品のチェーンに塗られているオイルは粘度が高くて回転が重くなりそうだし、ホコリや汚れが付きやすい印象があります。
しかし新品のチェーン特有の現象からチェーンを守って寿命を延ばすために、あのベタベタのオイルが欠かせないようです。
新品のチェーンやスプロケットには細かなバリが残っています。
バリは使用に伴ってチェーンやスプロケットから落ちていきます。はがれたバリがチェーンやスプロケットを攻撃しないように保護するのが新品チェーンに塗られているオイルです。
そのため新品のチェーンはそのままの状態で300~500kmほど走行して、チェーンやスプロケットが馴染んでから洗浄・注油したほうがいいそうです。
シマノの公式見解では「新品のチェーンは脱脂せずにそのまま使用すること」といっています。
もしベタベタが気になるようなら、チェーン表面だけをウエスで拭いてから使うようにしましょう。
SIL-TEC加工されたチェーンは中性洗剤で洗浄する
シマノの105以上のチェーンは表面がSIL-TEC加工されていて、フリクションロスを軽減しています。
SIL-TEC加工されたチェーンのメンテナンスに関するシマノの公式見解は以下のようになっています。
- 洗浄するときは中性洗剤を用いること
- 酸性やアルカリ性の溶液を使用しないこと
- 溶剤や灯油などにチェーンを浸さないこと
SIL-TEC加工されたチェーンをメンテナンスするときは中性洗剤で洗浄して、クリーナーやディグリーザー、灯油などに浸して完全脱脂してはいけないということですね。
チェーンはこのような部品から構成されています(画像はSIL-TEC加工されたチェーンではありませんが構成内容は同じです)。
この中でもっとも潤滑が求められるのがローラーとコネクトピンの摺動部ですが、脱脂するとなかなかオイルが浸透しにくい部分でもあります。
よくありがちなのがチェーン表面はオイルで潤っているが、肝心なローラーとコネクトピンの摺動部にはオイルが達していないという現象です。
この状態で運用すると摩耗が一気に進むだけでなく、アウター×ローのようなタスキ掛け状態でプレートに亀裂が入ることがあるようです。
チェーンが切れたら事故に繋がりますね。
シマノとしてはユーザーがどんなメンテナンスをするのか分からないので、チェーン内部のオイルを完全に落とさないメンテナンス法を推奨して安全性を確保しているようです。
チェーン内部のことや潤滑のことを理解してメンテナンスするのであれば、完全脱脂~注油というプロセスで問題ありません。
しかしそうでない場合は、シマノの公式見解に従って中性洗剤による洗浄に留めておいたほうがいいでしょう。
もちろんSIL-TEC加工されたチェーンに限らず、すべてのチェーンにおいてです。